犬と人間は言葉で会話できてるの?―犬が持つ驚きの感情を読み取る能力の正体
こちらの記事の続編です。
Youtubeで犬が会話ボタンを押して、飼い主と会話する動画。飼い主との会話のやり取りを言葉の情報で、成立させているように思える。僕は会話に注目することで次のような疑問を持った。
言葉を理解しているかのように会話できたり、犬が人間の感情を読み取れたりするのはなぜか。
前回の記事では犬は言葉を理解できないが、言葉を解釈することはできると述べた。犬の経験に基づいて、言葉を解釈している。犬と言葉との関りについて、哲学的に考察した。この記事では、犬と人間の会話・コミュニケーションについて哲学的に考察していく。
犬が言葉を理解しているように思うのはなぜ
犬が言葉を理解していると私たちはなぜ感じるのだろうか。犬は言葉を理解しているのでなく、指示・合図と認識しており、本能的に行動しているだけ。犬なりに言葉を解釈しているのであって、そこに言葉の理解は存在しない。
この問いの原因は犬によるものでなく、私たち人間に原因があると考察する。犬が言葉を使っている場面に対して、人間がその出来事に都合よく意味を付け加えているのだ。つまり、犬の行動を人間が解釈している。
Youtubeでの動画(犬と人間の会話)を見て、ちょっとぎこちないけど会話できてると思ったことがあるはずだ。このぎこちなさを説明する。私たちが動画を見る時は、犬は言葉を理解していて飼い主と会話していると思うのが普通だ。しかし、会話のぎこちなさを感じる会話もある。
このぎこちなさは、犬は言葉を理解していると考える人間と言葉を解釈している犬というギャップによって生じている。飼い主は、愛犬が一生懸命会話ボタンを押す姿から無意識のうちに犬の行動に意味を加える。
例えば、超一流の料理人がお客としてレストランで食事をしていたとしよう。その料理人が、静かに頷きながら食事をしている。そして、レストランのシェフはキッチンから様子を観察している。この時、超一流の料理人は単に「美味しい」と感じて頷いていただけであった。「なんかこのソースとお肉合うね」っといったラフな感じで。
しかし、キッチンでこの様子を見ていたシェフは「さすが一流の料理人!私のソースに入れた隠し味とお肉の工夫に工夫を重ねた調理法に気づいて頷いているんだ!」と。超一流料理人が美味しいと単に思っただけの行動に対して、レストランのシェフはその行動に意味を勝手に付け加えて解釈した。レストランのシェフは「私の料理を理解してもらえた」と考える。
私たちは、犬が会話ボタンを押したという行動に同じことをしているだけ。これが会話のぎこちなさに繋がっている。人間が犬の押した会話ボタンに合わせて、会話を作り上げようとしている。ゆえに犬が言葉を理解しているように感じるのだ。
犬はどのように人間の感情を読み取る?
「犬はどのようにして人の感情がわかるのか」について見ていきます。人の感情を読み取るための犬が持っている要素を挙げると、視覚・犬が持つ人との関り・声のトーンの聞き分け(聴覚)・犬の嗅覚です。
視覚からの情報も感情を読み取るのに役立っていることは間違いないです。しかし、犬の視力は人でいう0.2~0.3程度です。犬が視力で正確に捉えられる範囲では、感情を読み取るのに役立ちますが、常に感情を掴むのに最大限役立っているとは言い難いです。
そもそも犬と人間では、情報をどのように得るか違いがあります。人の場合は視覚情報55%・聴覚38%・言語情報7%(メラビアンの法則)とされています。実際の人間関係であれば、嗅覚や触覚も関わってきます。
犬の場合は人間と五感の機能が異なります。人は視覚情報が大切になってきますが、犬の場合は嗅覚が重要です。次に重要なのは、両者とも聴覚情報です。犬は人よりも嗅覚と聴覚が優れています。五感の機能の違いからわかるように、犬が感情を読み取り方は人間とは全く別です。
それでは犬が視覚以外でどう感情を感じ取るのか話していきます。まずは経験です。経験から犬が言葉を解釈していきますが、それと同時に経験からこの場面では怒っている、悲しんでいる、喜んでいるなど感情を学習しています。
そして声のトーンです。犬が言葉を理解しいると思ってしまう大きな要素です。大きな声で何かを言われれば、飼い主が怒っていると犬は判断します。逆に明るく優しい声で言葉を発したら、飼い主は良い気分なのだと聞き分けられます。ごく普通のことですね。
犬の特徴と言えば、やはり嗅覚です。犬は人間が感じ取れないような微量の匂いを感知することができます。匂いに対して敏感であることが、人間の感情を把握するのにとても重要です。
人間の体臭やフェロモンは、感情によって変化することが多くの研究で示されています。人間の体臭は約120種類の化学物質から構成されており、これらは個人の感情や健康状態に反映しています。特に犬は、人間がストレスや恐怖を感じているときに放出されるホルモンやフェロモンを嗅ぎ取ることができます。
犬は感情を脳で感じとることができるために、飼い主の感情に合わせて反応を取ることができます。飼い主が喜んでいたら一緒に喜んでくれるし、逆に落ち込んだりしていたら犬はそばに来てすり寄ってくれます。
以上のことから犬は感情を読むのに嗅覚、聴覚、経験・視覚の順で、重要であると考えられる。人間の視点で考えるだけだと、犬は言葉を理解していると思えるが、しっかりと考えることで本質に迫ることができる。前回と今回の記事で最も伝えたいことは、視点を変えて考える面白さと重要さだ。当然だが言葉との関り、生活、世界の捉え方など人間と犬には違いがある。人間同士ですら、たくさんの違いがある。なぜ違いがあるのかを相手視点で考えてみることで、その違いに気づき、お互いを受け入れられるようになると私は考える。
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